日本において映画産業が隆盛を極めた1950年代から1960年代にかけて、映画界はさまざまな芸術分野のエキスパートに協力を仰ぎました。その最たるものの一つが音楽です。当時活躍した作曲家たちの多くが映画界と手を結び、その繁栄を力強く支えました。作曲家たちにとっても、映画のために音楽を書き下ろす仕事は自らの創作意欲を実践に移すための貴重な機会でもありました。彼らによって映画のために書かれた諸作品は、演奏会用の作品とはまた一味違った魅力に溢れています。 本年(2024年)は、團伊玖磨、眞鍋理一郎、斎藤高順といった日本映画に深く関わった作曲家たちが相次いで生誕100年を迎える年でもあります。この記念すべき年に、戦後にデビューした作曲家グループ「3人の会」(團・芥川也寸志・黛敏郎)をはじめ、1950年代から1960年代にかけて輝かしい足跡を残した作曲家たちが音楽を担当した61作品(52プログラム)を上映し、彼らが映画界に果たした貢献と功績について顕彰します。 また、現在開催中の展覧会とも連動し、当館初の試みとなる上映ホールを会場とした演奏会を催すことで、数多の作曲家たちがフィルムに刻み付けた音の軌跡を多面的に体感いただきます。日本映画の黄金時代を視覚面・音響面の両方から深く味わうことのできる、またとない機会をお楽しみください。