今展は当画廊がお世話になっている刑部真由さんとひろせ まなさんの二人展となります。刑部さんとひろせさんはそれぞれご年齢も近く、お二人とも油彩を扱う作家(※ひろせさんはアクリル絵具等も使われます)ですが、その作品の彩度には真逆とも呼べそうなイメージがあります。柔らかくも鮮やかなカラーが魅力の刑部さんに対し、近年のひろせさんはモノクロに近い静かな色合いで描かれることが多いです。ですがこうして作品を並べて拝見した時に、お二人とも「光」という共通の現象に基づいて絵を模索されているように感じました。異なる点と言えばその表し方で、刑部さんの絵は光がモチーフの外側から降り注ぐような「明」に対する印象的な描写が目を惹くことに対し、ひろせさんの光は描かれる対象物の内側へと深く沈み込んでゆくような「暗」の要素が大きな魅力となっているように思います。そのため出来上がる絵の色彩的な印象はだいぶ異なるかもしれませんが、画面の奥底からじんわりと湧き上がるような落ち着いた空気と温度感には不思議と親しい叙情が感じられるようです。同時に双方の絵に登場する場面やモチーフ等からも、離れているようで実は近いような二人の作家の視点を垣間見るようで、展覧会として作品を並べた際にだけ楽しめる面白さが今展では出てくる気がします。 今回の二人展を企画したいと思ったきっかけは、昨年に刑部さんの個展を開催させていただいた際、刑部さんからひろせさんの絵がお好きであるとのお話を伺ったことでした。ちょうどそのあたりでひろせさんにご連絡をする用事があり、刑部さんのお話を添えたところ、ひろせさんも刑部さんの作品を当画廊Webサイトでご覧になっていたようで、綺麗な色感に魅力を感じてくださっていたご様子でした。この時のやりとりの流れは私としても何だかくすぐったいような嬉しさがあり、ずっと印象に残っておりましたが、二人展という形で刑部さんとひろせさんの作品を並べさせていただく機会をいただけたことは、画廊主としても本当に楽しく嬉しい気持ちでおります。個展ともグループ展ともまた違う「ふたり展」だからこそご覧いただける魅力をご用意しながら、この度も皆さまをお待ちしております。 (2024年2月 飯田未来子)