いわゆる視覚を中心にした表現領域である「美術(visual arts)」に対し,聴覚を中心にした表現として「サウンド・アート」があります.サウンド・アートでは楽音(楽器で演奏される音)によらない,自然環境音を録音した素材などの,さまざまな音が使用され,「聴くこと」自体を主題とするなどの特徴によって,同じく聴覚による芸術表現である音楽と区別されています.それは,聴くことから広がる知覚世界の提示という側面を持っています.ゆえに,サウンド・アートは,見ることに偏重した美術に対して,もうひとつの見ることを提示する表現でもあると言えるでしょう.