浜口陽三(1909~2000)は、20世紀後半に活躍した芸術家です。カラーメゾチントという新しい技法を開拓し、柔らかな奥行と静けさのある色彩表現を生み出しました。 銅版画の中でも、とりわけメゾチントは、日本でなじみが薄い技法の一つですが、一度目にすると忘れられない独特の風合いがあります。 この展覧会では浜口陽三の作品と共に、メゾチント作品を題材にした小説を紹介します。イギリスの作家、モンタギュー・ローズ・ジェイムズ(1862-1936)の怪談『銅版画』、北村薫(1949-)の時をめぐる小説『ターン』、歌人でもある塚本邦雄(1920- 2005)の絢爛な短編小説『七星天道虫』です。 版画作品は、それぞれの時代の空気を帯びて、小説の中にかけがえのない存在感を放ちます。文学におけるメゾチントの感触を、浜口陽三のメゾチント作品と共にご鑑賞ください。