東京国立近代美術館が1968年に「返還映画」を冠した特集上映を組んで以来、およそ半世紀ぶりの開催となった昨年度の「第一次・劇映画篇」に続き、「返還映画コレクション(2)――第一次/二次・劇映画篇」を開催します。アメリカ議会図書館に約1,400本におよぶ戦前・戦中期の日本映画が残存している事実が判明したのは、1964年のことです。日米双方による事前調査と折衝を経て、1967年11月8日に「交換協定文書」が調印され、日本側が返還を希望した可燃性フィルム群が里帰りを果たしました。その後の困難な整理・不燃化作業を経て、国立映画アーカイブの基盤となるコレクションを形成した「返還映画」の中には、戦時期に米国内の各地で日系人から接収されたものや、戦後に民間情報教育局(CIE)の覚書「非民主的映画の排除」によって上映を禁止された劇映画の一部等が含まれていました。このたび当館では、1967年の第一次から1984年の第四次にかけて返還された可燃性フィルムの収蔵時の経緯等について再調査を実施し、収蔵時期の明確になったコレクションから順次(再)公開する運びとなりました。 本企画は、社団法人・日本映画製作者連盟(当時・以下映連)加盟の大手映画会社4社(松竹、東宝、大映、日活)が優先的に返還を希望した第一次返還映画を継続して採り上げるとともに、映連各社が原版を所持していたために実際は返還を受けていないにも拘らず、「返還映画の特集〈第二期〉」(1968)で上映された作品群、ならびに第一次返還時に誤送されてきた『高山彦九郎』(1928)や『日本剱豪傅 新月寶藏院流』(1945)と併映する第二次返還映画を含め、計27本の劇映画を24プログラムに組んで上映する回顧特集です。戦前・戦中期に公開された映画の光と影に新たな視線を注ぐ機会となれば幸いです。皆様のご来場をお待ちしております。