PGIでは、八木清の5回目となる個展を開催いたします。 八木は、1994年からグリーンランドやアラスカの厳しい極北の地で、自然と共存するエスキモーやアリュートの生活様式、独特の文化や自然風景を撮影してきました。撮影の現場では、プリントにどう仕上がってくるかと言うことを考えて撮っている、と言う八木にとって、持ち帰ったネガをプリントに仕上げることは「撮影していた当時の自分まで遡及して現在の自身のあり方を思い返すことでもある」と語っています。その体験を通して、これまで『sila』という「大気の精霊」の気配を伝えようと作品を作ってきました。 作品制作とともに、極地探検家で人類学者であるクヌート・ラスムッセンが20世紀前半に採集した、魔法の言葉や古老たちの言葉、伝承や歌を紐解き日本語に翻訳してきました。この度、これらの翻訳をまとめた書籍『ツンドラの記憶――エスキモーに伝わる古事』の刊行に合わせ、エスキモーの言葉と写真を合わせた作品展を開催致します。 写真作品は、オリジナルのネガから作成した拡大ネガを使用し、プラチナパラジウムプリントで仕上げた作品をご覧いただきます。八木は、これまでアナログの工程にこだわりこの方法に挑戦してきました。8×10の大判カメラを使用して撮影された風景や面などの道具は、雁皮紙を使ったプラチナパラジウムプリントによって、その質感が克明に描かれています。また、エスキモーたちの生活によりフォーカスして撮影されたカラー作品『極北への旅 1994-2007』から約10点を合わせてご覧いただきます。 作者により翻訳された言葉の数々は、長い撮影の旅から得た経験と知識によって紡がれる言葉選びにより、写真作品と同じく、彼の地の人々や文化、精神を伝えるものとなっています。 本展では、プラチナパラジウムプリント約12点、カラープリント約10点を展示いたします。