前衛芸術とは、20世紀における既成の芸術の通念を否定し、先鋭的で実験的な手法を用いる芸術の傾向を指します。本展では、当館所蔵品を用いてわが国における前衛芸術の展開を概観します。 20世紀初頭、セザンヌ(1839-1906)、ゴッホ(1853-90)、ゴーギャン(1848-1903)などの後期印象派に影響を受け、マティス(1869-1954)が野獣派(フォーヴィスム)、ピカソ(1881-1973)、ブラック(1882-1963)が立体派(キュビスム)、イタリアではマリネッティ(1876-1944)らが組織した未来派(フォトリズモ)の芸術運動が盛んになります。ドイツでは新しい芸術運動の成果を取り入れた芸術集団が結成され、主導者カンディンスキー(1866-1944)が抽象的な水彩画を制作しました。その後の第一次世界大戦においては、既存の芸術をすべて否定するダダイスムが起こり、後に超現実(シュルレアリスム)主義に発展解消します。このような流れを汲む西欧では、前衛芸術は上記の中でも抽象主義と超現実主義を指すことが多いです。 日本では地理的な理由から、ヨーロッパの新しい芸術動向が時系列に沿わずに紹介され、さまざまな傾向が混在する作品が制作されました。このような性格を持つ日本の前衛芸術を、太平洋戦争前後の2つの時期に分けて紹介します。