鉛筆による細密描写で現代アート界に衝撃を与え、2013年に63歳で急逝した吉村芳生(山口県出身)の大回顧展。活字1文字1文字まですべて手描きで完璧に写しとった「新聞」、1年間毎日描き続けた「自画像」、写真と見まがう「全長10mの花々」など、リアルな作品の数々に画家の執念、時間の集積を感じずにはいられません。初期のモノクロ作品から晩年の鮮やかな花々まで、驚きと感動に満ちた約500点により画業の全貌に迫ります。 【展覧会の見どころ】 ひたすらマス目に斜線を引く! 版画や、鉛筆でのドローイングが中心の初期の作品。「ジーンズ」の技法は2.5mm四方のマス目に、濃淡を0から9の数字で記入。「4は斜線5本」などのルールで機械的に描写しています。 「ジーンズ」1984年 インク、フィルム 「ジーンズ 下絵(数字)」(部分) 1984年 鉛筆、紙 活字も写真もすべて手描き! 生涯で 2000 点を超える自画像を描いた吉村。この作品は新聞紙に顔を描いているのではありません。新聞紙面すべてが手描きです。自画像の表情は、その紙面を見た際の吉村の実際の反応が描かれています。 「新聞と自画像 2008.10.8 毎日新聞」 2008年 鉛筆・色鉛筆・水性ペン・墨・水彩、紙 「新聞と自画像 2009.1.22 ジャパンタイムズ」 2009年 鉛筆・色鉛筆・水性ペン・墨・水彩、紙 10mの大作も色鉛筆で! 後期作品はカラフルに、巨大化。1990年頃から吉村は色鉛筆で描いた花の絵を制作するようになります。本作は実際の情景とは天地を逆にして描いています。上下を逆にすることで、虚構と現実、日常と非日常が入れ替わることを表現しています。 「未知なる世界からの視点」2010年 色鉛筆、紙 ©Yamamoto Tadasu