この発信拠点について
鎌倉駅から続く小町通りを抜けようとする頃、左手の電柱に、楚々とした少女の絵が貼られています。それを合図に左に曲がると、通りの喧騒を背に、静かな住宅街が広がっています。小さな門をくぐって下さい。画家が愛した季節の草花が訪れる人を迎えます。
展示室は一つ。美人画で知られる鏑木清方ですが、風景の中にたたずむ着物姿の女性たちは、見る人の思い出の中に住む母や祖母、小説や舞台の主人公たちのイメージへとつながります。自作が人々の暮らしの中に溶けこみ鑑賞されることを望んでいた「清方さん」に応えて、まず画面を隅から隅までじっくり眺めて、自分だけのひそかな発見をしましょう。
美術館の庭も、私たちの眼を楽しませてくれます。晴れの日、雨の日、新緑のころ、木々が色づく秋。清方作品のニュアンスに富んだ色彩と同じように、さまざまな表情を見せるのです。何か軽やかで澄んだものがそっと入り込んだような心持ちで、美術館を後にしていただけましたら、それが私たちスタッフの最大の喜びです。

©️鎌倉市鏑木清方記念美術館
